分野:英米モダニズム文学、現代詩、オリエンタリズム

『エイミー・ローエル全詩集および散文選集』
(復刻版 全6巻)
Amy Lowell: Complete Poetical Works and Selected Writings, 6 vols.
Edited and introdu編集および解説:国際基督教大学 大西直樹
ced by Naoki Onishi, International Christian University, Tokyo



2007年6月刊行 
本体セット価 \118,000
c.3,200 pp.
ISBN 10: 4-902454-29-7
/ ISBN 13: 978-4-902454-29-1

●アメリカ20世紀初頭のモダニズム期を代表する女性詩人の初の復刻著作集。
●ジャポニズム・オリエンタリズムの影響を受けた、Sword Blades and Poppy SeedsやPictures of the Floating World等の詩集や遺作となりピューリツァー賞を受けた代
表作What's O'clockなど詩集10点をすべて初版の復刻で収録。漢詩集『松花箋』の英訳から翻案した詩集 Fir-Flower Tabletsを加え、韻文作品集は全点網羅。
●さらに詩の起源からエミリー・ディキンソン、そしてD. H. ロレンスなど同時代の詩人までを論じ死後に刊行された詩論集Poetry and Poets、そして土居光知・大森安仁子英訳『更級日記・紫式
部日記・和泉式部日記』への長文の解題、The Dial, Poetry, Little Reviewに掲載された評論、エッセイ7点を付録。

収録文献:
Vol.1
Introduction by N. Onishi c.10 pp

A Dome of Many Colored Glass
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1912, 150 pp

Sword Blades and Poppy Seeds
New York: Macmillan, 1914, 264 pp

Vol.2
Men, Women, and Ghosts
New York: Macmillan, 1916, 378 pp

Can Grande's Castle
New York: Macmillan, 1918, 249 pp

Vol.3
Pictures of the Floating World
New York: Macmillan, 1919, 277 pp

Legends
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1921, 273 pp

Vol.4
Fir-Flower Tablets 『松花箋』
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1921, 322 pp

A Critical Fable
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1922, 108 pp

Vol.5
What's O'clock
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1925, 245 pp

East Wind
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1926, 240 pp

Vol.6
Ballads for Sale
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1927, 323 pp

Poetry and Poets, Essay
Boston & New York: Houghton Mifflin, 1930, 238 pp

Miscellaneous Writings 1
Introduction to Diaries of Court Ladies of Old Japan, Houghton Mifflin,
1920, 24 pp

Miscellaneous Writings 2
Selected Articles from Literary/Poetry Journals 1914-1922, 39 pp
Vers Libre and Metrical Prose, Poetry, 1914 March, III p. 213-220
A Letter from London, Little Review, 1914 Oct., I p. 6-9
Nationalism in Art, Poetry, 1914 Oct., V p. 33-38
The Poetry Bookshop, Little Review, 1915 May, II p. 19-22
  An Observer in China, Poetry, 1917 Aug., X p. 326-330
The Rhythms of Free Verse, The Dial, 1918 Jan., LXIV p. 51-56
Miss Lowell on Translating Chinese, Poetry, 1922 Dec., XXI p. 167-172

編集の言葉・・・・・・・・・・・・・・・大西直樹 

葉巻きを愛好し、巨体をたゆたわせた女性詩人、エイミー・ローエル(正しくはロール)が1925年5月12日、享年51歳で突然この世を去り、遺作のWhat’s O’clockがピューリツァー賞に輝いた時点で、彼女の名声はピークを打ったといわれている。その後は急速に忘れ去られ、様々なアンソロジーを見ても彼女の作品はごく最近まで含まれることはなかった。生前、T.S.エリオット、エズラ・パウンド、D.H.ローレンス、ロバート・フロストといった詩人達と活発に議論を交わしていた彼女の詩や詩論は、それほどまでに簡単に無視されてよかったのだろうか。
  彼女の詩作のなかには日本や東洋を題材とした作品が多くあり、そのオリエンタリズムの特徴や、あるいは、現代詩の中核をなすイマジズムの擁立と実践にかかわる詩論など、興味深い研究がなされてきたのは事実である。それでも、40年代以降のキャノンから彼女が明確に排除されたことも否定できない事実である。それはなぜだろうか。
  皮肉な事に、その理由をさぐることから逆に彼女の本質に迫る道が開けてくる。実際ここ10年ほど、エイミーに対して熱っぽい関心が向けられはじめ、これまで抑圧され、無視され続けた彼女のレズビアン詩人としての側面に新しい光が注がれている。ボストン・ブラーミン出身の彼女が背負った文化との関係において、その伝統にあらがった彼女の詩作と生き方は、今こそ新しい研究を求めていると言って過言ではない。ここに集めた詩集と詩論は、彼女の死後80年たってはじめてその全体像を提示するもので、それによって、彼女の本来の意味をあらたに解釈しなおす機会を提供できれば幸いである。

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