● 『マザーグース』研究のための基本文献を復刻するシリーズの完結編。
● 20世紀初頭モダニズム期の英米で発表されたマザーグース集から、この時代に特徴的な9点を収録。
● 日本でのマザーグース研究に特に重要な、北原白秋が使用したとされるマーガレット・タラント版と竹久夢二が使ったエヴリマンズ・ライブラリー版(今日のエヴリマンズ版とは全く異なる)も収録。
収録文献():
Vol. 1: c. 510 pp.
Frederick Burr Opper
Mother Goose's Nursery Rhymes
Philadelphia: J. B. Lippincott Co., 1900, c.325 pp.
Charles Welsh / Clara E. Atwood
A Book of Nursery Rhymes
Boston: D. C. Heath & Co., 1901, c.185 pp.
Vol. 2: c. 435 pp.
Walter Jerrold / John Hassall
Mother Goose's Nursery Rhymes
London: Blackie & Sons, 1909, c. 431 pp.
Vol. 3: c. 630 pp.
Margaret W. Tarrant
Nursery Rhymes
(2nd ed.) London: Ward, Lock & Co., 1916, c. 345 pp.
Ernest Rhys
Mother Goose's Book of Nursery Rhymes and Songs (Everyman's Library)
London: J.M. Dent & Sons, 1928, c. 285 pp.
[Reprint of 1st ed. published in 1910]
Vol. 4: c. 335 pp.
Carolyn Wells / Edith R. Wilson
Everychild's Mother Goose
New York: Macmillan Co., 1918, c. 335 pp.
Vol. 5: c.325 pp.
Ella Dolbear Lee
The Ella Dolbear Lee Mother Goose
New York: M. A. Donohue & Co., 1918, c.321 pp.
Vol. 6: c.555 pp.
Logan Marshall / Julia Greene
Mother Goose Nursery Rhymes
Chicago: The John C. Winston Co., 1917, c.268 pp.
Lawrence Elmendor / Boyd Elmer Smith
The Boyd Smith Mother Goose
New York: G.P. Putnam's Sons., 1919, c.285 pp.
■マザーグース・ライブラリーシリーズ既刊■(編集・解説:藤野紀男&夏目康子)
第2回配本『マザーグース初期研究書集成』全6巻 + 別冊日本語解説
Mother Goose Library 2: Collection of Early Researches
本体:\118,000(税込:\123,900)・約2,500頁・ISBN: 4-902454-08-4
●英米民間伝承「マザーグース」研究のための基本文献を復刻する好評シリーズ第2回配本。
●マザーグース研究の嚆矢である19世紀初頭の文献学者ジョン・ベレンデン・カーの稀覯書からヴィタ・サックヴィル=ウエストのエッセイまで、幅広く網羅。
●児童文学研究資料としてだけでなく、英米の大衆文化、そしてヴィクトリア朝文化の多様な研究に利用可能。
第1回配本『マザーグース初期英米選集コレクション』全6巻+別冊
Mother Goose Library 1: Collection of Early Editions
本体:\118,000(税込:\123,900)・約2150頁・ISBN: 4-902454-04-1 (残部僅少)
*推薦文* 「生きつづける生命力―重要な初期集成探訪」 日本児童文学学会会長 原 昌
英国の伝承童謡「マザーグースの唄」は、わが国の<わらべ唄>と異なって、その影響の裾野が広く、古くから文学や演劇に入ったり、政治風刺や社会風刺に用いられたり、イギリス人の日常感覚にも入り込んでいる。いわば基層文化の一つである。もちろん、アメリカにも流布し、文学・文化に影響を与えている。その唄の多くは<遊び>の感覚に溢れ、意味よりもリズムを重視し、時間・空間を超えるメディアとしての強さと、世代を経て研ぎすまされた唄としての普遍性、子どもと大人の共有性を有している。その背景には、イギリス人の古き遺産への尊重と民族のこころへの絶えざる回帰がある。
唄の起源の多くは<大人の世界>にあって、子どもの世界に入って保存されたという。もちろん、その継承は<子ども部屋>だけでなく、その時代時代の文化的メディアに正体を明かさず入り込み、さまざまな伝承ルートを通して、今日まで生きつづけてきた。
その重要なメディアの一つが、文字による記録集成である。「マザーグースの唄」は、たしかに口承文芸としての歴史は古いが、集成は比較的新しい。チャップブックやTommy Thumb's Pretty Song Book, Voll.[sic]
IIなどが先駆をなしたものの、その集成が本格化しはじめたのは、18世紀後葉になってからであった。
このコレクションは、初期集成のうえで、当時を代表する古い選集 Mother
Goose's Melody をはじめ、最初の文芸学・民俗学的研究であるJ. O. HalliwellのThe Nursery Rhymes of England や、著名な挿絵画家L. L. Brooke と民俗学者A.Langと組んだThe Nursery Rhyme Book など、文献学上の重要な書を含み、18世紀末から19世紀において本格化した集成の足跡である。当時における唄の変化、唄の解釈、唄の広がりを示すとともに、初期の挿絵の美しさにも触れることができる。また、ヴィクトリア朝の英米文学、英米児童文学、および大衆文化への直裁的な影響を探るうえでも重要である。
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