ウィリアム・アンダーソン(William Anderson, 1842-1900)は1873年に来日、品川の海軍病院に勤務、1880年に離日した医師で、その間膨大な日本、中国の絵画と美術品を収集、その収集品が今日の大英博物館における日本美術コレクションの中核をなしていることで知られます。滞日中に日本アジア協会でアーネスト・サトウらジャパノロジストたちと交流した彼は、日本美術を総合的に研究し、その成果をThe
Japan Weekly MailやTransactions of the Asiatic Society of Japanに発表、サトウが編集した英語による日本旅行ガイド、A Handbook for Travellers in Central and Northern Japanの
芸術関連項目の執筆も担当します。
英国帰国後1886年に発表された『日本絵画芸術』The Pictorial Arts of Japanは、英語で著された初めての本格的日本美術史で、それは日本人自身による初めての日本美術史である『稿本日本帝国美術略史』が発表される二十数年前のことでした。絵画だけでなく、版画や工芸まで含む美術史を、中国や韓国での版画の起源にまで遡り語った本書は、同時期にフランスで出版されたルイ・ゴンス著『日本美術史』L'Art
Japonaisとならぶ、ジャポニスム期を代表する西洋の書物と言えます。
今回はアンダーソン自身が解説を執筆した大英博物館所蔵日中絵画の目録、Descriptive
and Historical Catalogue of a Collection of Japanese and Chinese Paintings
in the British Museum、そして末松謙澄によるThe Pictorial Arts of Japanの邦訳(抄訳)『日本美術全書』 も合わせて復刻いたします。
■収録文献明細■
●ウィリアム・アンダーソン著 『日本絵画芸術』
The Pictorial Arts of Japan with a Brief Historical Sketch of the Associated
Arts, and Some Remarks upon the Pictorial Art of the Chinese and Koreans
底本: London: L. Lowe, Marston, Searle, and Rivington, 1886
約640頁 (図版80点白黒およびカラー)
分売本体価格 \39,800
A4判(原本を約25%縮小)
ISBN 10: 4-86166-052-1
ISBN 13: 978-486166-052-8
●ウィリアム・アンダーソン解説 『大英博物館所蔵アンダーソン・コレクション目録』
Descriptive and Historical Catalogue of a Collection of Japanese and Chinese
Paintings in the British Museum
By William Anderson, F. R. C. S.
底本: London: Longmans & Co., 1886
約660頁 (図版31点白黒)
分売本体価格 \39,800
B5判
ISBN 10: 4-86166-053-X
ISBN 13: 978-486166-053-5
●The Pictorial Arts of Japanの邦訳
末松謙澄訳輔 『日本美術全書』
〈Japanese Edition of Anderson’s Pictorial Art of Japan by Kencho
Suematsu〉
底本: 八尾書店(東京) 明29年刊 「沿革門」、30年刊「応用門」より邦訳テキスト部分のみ復刻、1巻に合本。
(図版は省略いたします。)
約235頁
分売本体価格 \9,800
B5判
ISBN 10: 4-86166-054-8
ISBN 13: 978-486166-054-2
別冊解説(日本語):馬渕明子(日本女子大学教授)
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