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『西洋人たちの語ったラフカディオ・ハーン:
初期英文伝記集成』

復刻集成全4巻+別冊解説
Early Biographical Sources of Lafcadio Hearn
監修&解説(日本語&英語): 梅本順子(日本大学国際関係学部教授)

2008年12月刊行
価格:\88,000(本体セット価格)
A5判 約2,200頁(全4巻)
ISBN: 978-4-86166-102-0

 ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の作品は、その生存中から数多く欧米で発行され、世紀末からのジャポニズム小説の人気もあり英語圏でも広く読まれ、友好的な日米・日英の関係を背景に、ハーンも一定の評価を得、戦前には多様な伝記やその業績に関する書物が出版されました。しかし著名なエリザベス・ビスバンドのハーン伝を除き、それらのほとんどは現在絶版となっており、研究者、学生が容易に利用することができなくなっています。今回の復刻出版は、これら今日入手の困難になっている、英文で出版された戦前のハーンの伝記や人物研究10点を集成します。監修者による解説(日本語&英語)が書き下ろされます。

編者より −−−−  梅本順子

ラフカディオ・ハーンの伝記の出版には一つの特徴がある。ハーンの死の直後、書簡も含めて編集される「公式な伝記」の出版を目指したことである。併し、この資格をめぐって争いが起こり、公式伝となったエリザベス・ビスランド(Elizabeth Bisland)による伝記(Life and Letters of Lafcadio Hearn )のほかにも、時を同じくして数種類の伝記が出版された。しかもそれらの伝記は、ビスランドの書簡集編纂への協力を拒否したものたちによって出版されたのである。その一人、ジョージ・グールド(George Gould)のハーン伝(Concerning Lafcadio Hearn)は、ハーンの伝記の中
ではもっとも辛らつなものとして知られる。自らが所持するハーン書簡を織り交ぜて、独自のものを出版することに対しては大変意欲的であった。このあたりのハーンの旧知や友人間の争いの顛末は、のちにオスカー・ルイス(Oscar Lewis)によるHearn and His Biographers(1930)に詳しい。もう一例挙げると、ついに伝記としてまとめるには至らなかったものの、ハーンから受け取った書簡を使用して独自の伝記を出版することをもくろんで、書簡を暖め続けた人さえいる始末である。それだけ、ハーンは多くの旧知をひきつけてやまなかった。
ハーンの伝記としては、これらの関係者によるものをはじめとして、1920年代以降に出版されたハーンとは直接の関係を持たない人によるものとの二種類に大別される。死後数年の間に旧知によって出版された伝記の波が一段落すると、1920年代のハーン関係の書物の出版ラッシュの中で、ハーンとは直接関係のない人々によって、これまでとは異なる視点からなる伝記が出版されるようになったのである。本シリーズでは、これらの両カテゴリーから選んだ、それぞれ特徴のあるハーンの伝記を収録している。

推薦文 −−−−  小泉凡(島根県立大学短期大学部)

 ポスト・コロニアル時代・「共生」の時代の価値観の反映もあって、ラフカディオ・ハーンの研究や普及の活動がこのところ活発化していることは、子孫として感謝と喜びにたえない。一方で研究のための基本文献である、欧米で出版された初期の評伝類が、ときにハーンの著書以上に得がたい状況となっている事実には憂えの気持ちを抱いている。このたびの初期英文伝記集成はそんな状況を見事に打開するものであり、国内外の研究者・愛好者、また興味があっても購入のチャンスを逸していた方々にとって実に有意義な上梓であることは言うまでもないだろう。また従来から文献解題の労をとってこられた梅本順子教授による監修と解説は、内容の充実に大いに貢献するものとなろう。

◇収録文献(予定)◇
Vol.1:
*Gould, George Milbry, Concerning Lafcadio Hearn, with a Bibliography by Laura Stedman, London: T. F. Unwin, 1908, c.318pp.
*Thomas, Edward, Lafcadio Hearn, London: Constable & Boston: Houghton Mifflin, 1912, c.96pp

Vol.2:
*Kennard, Nina H., Lafcadio Hearn, containing Some Letters from Lafcadio Hearn to His Half-Sister, Mrs. Atkinson, London: Eveleigh Nash, 1912,
c.403pp.

Vol.3:
*Tinker, Edward Larocque, Lafcadio Hearn's American Days, London: John Lane, 1925, c.396pp.
*Ball, Chas E., Lafcadio Hearn: An Appreciation, London: Caxton Books,
1926, c.12pp
*Hendrick, Elwood, Lafcadio Hearn, New York: New York Public Library, 1929,
c.10pp

Vol.4:
*Lewis, Oscar, Hearn and His Biographers: The Record of a Literary Controversy, San Francisco: Westgate Press, 1930, c.120pp
*Barel, Leona Queyrouze, The Idyl: My Personal Reminiscences of Lafcadio Hearn, Tokyo: Hokuseido Press, 1933, c.71pp
*Kirkwood, Kenneth Porter, Unfamiliar Lafcadio Hearn, Tokyo: Hokuseido Press, 1936, c.110pp.
*Lafcadio Hearn in New Orleans, Lafcadio Hearn Society of New Orleans & Japan Institute New York, 1941, c.47pp.

◇ラフカディオ・ハーン研究関連書◇

■ヨネ・ノグチ英文著作集〜文芸作品・評論・詩集〜 全6巻 + 解説
Collected English Works of Yone Noguchi - Poems, Novels and Literary Essays
監修・解説:亀井俊介(岐阜女子大学教授・東京大学名誉教授)
2007年1月刊行 本体価格\128,000
ISBN: 978-4-86166-036-8
*ラフカディオ・ハーンとも親しく交流した野口米次郎の英文著作集成。ハーン研究書も収録。

■パーシヴァル・ローエル著作および書簡集 全5巻 + 別冊
Percival Lowell - Collected Writings on Japan and Asia, including Letters to
Amy Lowell and Lafcadio Hearn
編集・解説 David Strauss, Professor Emeritus, Kalamazoo College
別冊付録: 小泉凡著「パーシヴァル・ローエルのラフカディオ・ハーン宛書簡に関する考察および邦訳」
2006年6月刊行 本体価格\98,000
ISBN: 978-4-901481-48-9