‘The
Guardian of Education is recognized today as the first
publication of any kind, anywhere in the world, systematically
to review and criticize children’s books.’
-Pauline Heath, University of London-
●トリマー夫人編集19世紀英国児童文学評論誌の初めての復刊
●世界で初めて児童書・文学を体系的に評論した出版物
●英文学、児童文学、児童教育、心理学など多方面での資料として活用可能
●トリマー夫人の決定版評伝(書簡、日記抜粋、書誌含む)全2巻を同時復刊
18世紀から19世紀の英国は産業の発展と政治的な安定により、市民階級が社会のなかでの影響力を強めます。この時代出版界では児童向けの教養書、童話などの出版が流行し、とくに女性作家による児童文学が数多く発表されます。これらの文学活動の背景には、ジョン・ロックの哲学やジャン・ジャック・ルソーの教育論がある一方、フランス革命からヨーロッパに広がる危険思想から子供たちを守り、キリスト教と伝統的道徳を教えようという非常に保守的な流れがありました。
トリマー夫人(Mrs. Sarah
Trimmer 1741-1810)はこれら「教訓派」を代表する作家で、当時大成功した「こまどり物語」
Story of Robins の作者として知られます。ジョンソン博士、ホガース、ゲンズボロなどとの交流もある教養人であった夫人は、自身7人の子供の母としての教育への関心から、日曜学校の運営に携わり、学校での使用を主な目的とした多くの教科書や児童書を執筆します。彼女の精力的な活動は支持を広げ、その経験から1786年にはシャーロット女王にウィンザーでの日曜学校設立に関して長時間の講義をするまでになります。この内容は後にThe
Oeconomy of Charity としてまとめられ、現在でも教育学の古典の一つに数えられる名著となっています。
本書はトリマー夫人が1802年から5年間主宰、自身とその支持者が大半の記事を執筆した評論誌
The Guardian of Education の完全復刻です。彼女がこの出版を始めた動機は、18世紀末から19世紀初頭にアンドルー・ベルやジョセフ・ランカスターによって始められたルソー派の新教育に対する危機感とルソー主義から英国の子供たちをガードすることであったとされます。この評論誌を通じ彼女は一部の児童文学の不道徳性を糾弾しました。たとえば、「シンデレラ」は、嫉妬心、家族への嫌悪感、虚栄心などを子どもの心にうえつける本であり、「ロビンソン・クルーソー」は放浪生活や冒険心をたきつける本、「マザー・グース」にでてくる奇想天外なアイデアは子供達の心を乱すものとして排斥されました。ここにあらわされている彼女の思想は、それがいかに偏見に満ちていたものであったとしても、まさにこの時代の英国の時代風潮であったといえます。
同時復刊される評伝はトリマー夫人の死後刊行された、全2巻700頁を超える大著で、夫人の生涯、著作活動の詳細に加え、書簡、日記からの抜粋、祈祷の言葉、そして書誌が編集されています。
トリマー夫人そして英国18-19世紀の教訓派の全体像があきらかになるこれらの文献は、児童文学研究だけでなく、18世紀から19世紀の英国文学、教育史、歴史研究全般に大変魅力的な原資料です。
●各書の分売も承っております●
The Guardian of Education 全5巻 (c.2500pp)
ISBN 4-901481-25-8 \128,000
Some Account of the Life and Writings of Mrs. Trimmer 全2巻(c.700pp)
ISBN 4-901481-26-6 \43,000
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