●19世紀の反フェミニズム小説集
●女性史はじめ、英文学、英国史、ヴィクトリア朝文化への多様な角度からの研究を促すユニークな文献集
■内容明細■
Vol.1-3:
Eliza Lynn Linton
The Rebel of the Family, 3 vols. (304pp, 282pp,
288pp, London: Chatto & Windus, 1880).
社会的な成功を夢見る女性が、フェミニストの罠にはまり男性嫌いのレズビアン女性の餌食になる寸前に、親切な男性に救われ、彼と結婚する。フェミニズムの社会的逸脱を攻撃した小説。全3巻にわたる長編小説。
Vol.4:
Walter Besant
The Revolt of Man (358pp, Edinburgh: Blackwood,
1882)
男女の役割が入れ替わった世界が反理想郷として描かれ、最後に革命により普通の男女の関係に戻される。フェミニストの支配する恐怖社会が、非常に保守的な言説で語られている非常に興味深い小説。
Vol.
5: Arabella Kenealy
Dr Janet of Harley Street (340pp, London: Digby,
Long, 1893).
男性的な女医が、夫の暴力から逃げてきた女性をかくまい、医学を教えようと試みる。しかし女性は医者になることに関心を示さず女医の甥と駆け落ちしてしまう。専門職を目指す女性に対する皮肉と警鐘が読み取れる。
Vol.6:
C. E. Raimond [Elizabeth Robins]
George Mandevilles Husband (219pp, London: Heinemann,
1894).
女優で後に婦人参政権運動家となるエリザベス・ロビンズの処女作。現在、フェミニスト批評家の多くはこの作品をヴィクトリア後期の反フェミニズムを揶揄した小説とみるが、同時代のフェミニスト達はあからさまなフェミニズムへの攻撃をこの作品の中に読み取った。主人公はフェミニストである流行作家で、売れない画家である夫を抑圧し威張りちらしている。母におびえる娘は、両親の間でもがき苦しみ死に至る。吸血鬼のような妻であり母である女性像が、フェミニスト作家である女性のなかに描かれている。
Oliver
Pratt Rayner[Grant Allen]
The Type-Writer Girl (261pp, London: C. A. Pearson,
1897).
職業作家である女性の性に対する不安を扱った小説。前掲書が女性作家が男性名をペンネームとしたのに対し、本書は、コナン・ドイルの親友で
The Womean Who Did の作者として知られるグラント・アレンが女性名で著した作品で、両者の比較も興味深い。
◆シリーズ第2回配本予定◆
反フェミニズム −エドワーディアン小説選集−
Anti-Feminism in the Edwardian Novels
●2004年刊行予定 ●ISBN 4-901481-88-6 ●価格未定
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