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初めての復刻出版!

ボズウェル著「ジョンソン伝」初版 全2巻
復刻版 限定115部

James Boswell, Esq.
The Life of Samuel Johnson LL.D.
Comprehending an Account of his Studies and Numerous Works, in hronological
Order; a Series of his Epistolary Correspondence and Conversations with many
eminent Persons; and various original Pieces of his Composition, never before
published. The Whole exhibiting a View of Literature and Literary Men in
Great-Britain, for near half a Century, during which he flourished. in Two
Volumes.
First issue of first edition. London: Printed by Henry Bladwin, for Charles
Dilly, 1791

bound with
James Boswell, Esq.
The Principal Corrections and Additions to the First Edition of Mr. Boswell's
Life of Dr. Johnson. London: Printed by Henry Baldwin, for Charles Dilly, 1793
■監修:島田孝右(専修大学)

全2巻 約1,160頁 A4判 (限定115部)
2003年10月刊行
本体セット価¥59,800
ISBN: 4-901481-69-X

"The most famous single work of biographical artin the whole of literature " by W. J. Bate

英語で表された最高の伝記文学として広く認められている、ボズウェルのジョンソン伝 の初版本が初めてファクシミリ・リプリントされます。ジョンソン伝はこの初版以降、 各種の異版や校訂本が編集され、現在の研究の大半は1934−50年に刊行された Hill-Powell版全6巻を定本としています。しかしながら、ボズウェル自身の手によるこ の初版の、文学史上、そして書誌的重要性はいまでも決して薄れておらず、原本は稀覯 本として古書市場でも非常な高値を呼んでいます。

本復刻版は、この初版・初刷本を出来る限り忠実に再現(余白部分のみ若干縮少し、A 4判で製本)します。また、ボズウェル自らが初版の購入者用に編集した改訂と増補を 収めた42頁の冊子も合わせて収録しています。

英文学史上、最も重要な書物の一つをどうぞお手元にお揃えください。

 

■監修者のことば     専修大学 島田孝右  

18世紀のイギリスで代表的な文学者といえばサミュエル・ジョンソンであることに異存をはさむ者はいないであろう。確かに『ロビンソン・クルーソー』や『ガリヴァー旅行記』は大変有名であるが、それらの作者であるダニエル・デフォーやジョナサン・スウィフトは、ジョンソンを凌ぐ文学者ではない。  ジョンソンは、『英語辞典』(1755)の偉業によって知られるが、それと同時に、というよりもむしろ、「ボズウェルに描かれた」ジョンソン、つまり『ジョンソン伝』の中のジョンソンとして知られる人物であり、この伝記によって後世に名が残ったとも言えよう。  今回刊行の復刻版は、決して本棚の飾り物などではない。完全とも言える注釈版を離れ、マイクロフィルム、CDなどで読むときの耳障りな機械音が聞こえない図書館のキャレル(Carrel)や書斎で、直接「ボズウェルのジョンソン」に接するこのができる貴重な場を提供するものである。

 

■推薦します

『ジョンソン伝』を初版で読む     立命館大学教授 中原章雄  

古典を初版のファクシミリで読むことには、どのような意味があるのだろうか。ボズウェルの『ジョンソン伝』の場合、それは明らかである。この本は1791年、書物が大量生産・大量販売を迎える直前の良き時代に出版された。ボズウェルが本著の本造りにどれほどの情熱を傾けたか現在では分かっているが、四折判2巻で2ギニーという高値にふさわしい、出版史上に輝く出来栄えを示している。初版のテクストも貴重である。ボズウェルは第2版で雑多な新資料を盛り込み、本体印刷後も資料を2度3度と補遺として追加した。今日も決定版とされるHill-Powell版はボズウェルの死後に友人のシェイクスピア学者マローンが、混乱した第2版を手際よく肯定した第3版を底本とする。だがこの版は19世紀末に出た元版の枠組みのまま改訂されたため、研究者間の論争が示すように問題を残している。今度の復刻版で読むことができるようになった、すっきりした初版のテクストこそが、ジョンソンを囲む綺羅星のような友人たちも一般読者も、初めて接したボズウェルのジョンソン像である。  ファクシミリで特に貴重なのは、第2版が出た際に初版購入者向けに準備された“Principal Corrections and Additions”である。この冊子は英国図書館など所蔵が限られた稀覯文献であり、ボズウェルが初版以後もいかに改訂に努力し執念を持続したかを象徴している。自堕落な生活者のイメージが強い彼が、最晩年にこれほど緻密な作業を行っていたことは感動的でさえある。索引が上巻の本文に先立つ箇所にあるのも注目に値する。それは造本上の理由とされるが、ジョンソンの言動を手っ取り早く検索したいという読者の関心に、ボズウェルが無頓着のはずがない。彼は校正刷で随所に抜け目なく新しい項目を案配して、独特の索引に仕立て上げた形跡がある。  ペーパーバック全盛の今日こそ、ジョンソンの時代の雰囲気を忠実に伝える復刻版をおすすめしたい。

 

記念碑的傑作の実相に肉薄する-

『ジョンソン伝』の初版復刻本を推薦します     原田範行(杏林大学外国語学部教授)  

1781年5月のある日、ボズウェルは、ジョンソンの才能の一側面について、ある「高名な友人」が話すのを聞いてメモを取っていた。何ら個人的偏見を持たずに彼が意見を語るとき、叡智に満ちたその発言は実に圧倒的だ-これが、その「高名な友人」の発言。今日、『ジョンソン伝』の定本となっているHill-Powell 版(底本は第3版)でこの箇所を読むと、注釈が付されていて、その友人がウィリアム・ジェラード・ハミルトンであることが分かる。だがボズウェル自身は、初版印刷の段階まで、この「高名な友人」のことを「ハミルトン氏」と記していた。それが、刊行される直前になって、削除・改変を余儀なくされたのである。一体なぜか。初版本には、こうした痛々しい箇所が少なくとも6葉存在する。  初版本の痛々しさは、その記述に関するものばかりではない。第1巻を開くと、まずタイトルページ、献辞、広告と続いて、いきなり索引と訂正表が入る。第1巻と第2巻の分量的なバランスが悪くてこのような苦肉の策が講じられたらしい。タイトルページの前にあるはずのハーフタイトルは、第1巻にも第2巻にも存在しない。ボズウェルがタイトルページの校正稿を受け取ったのは1789年3月。使用する活字を修正し、ヘンリー・ボールドウィンという印刷屋の名前を加えてこの校正稿を返送したものの、印刷が実際に始まるまでには一年の歳月を待たねばならなかった。印刷費用も彼自身の負担である。  さまざまな紆余曲折を経て、この伝記文学における金字塔は、1791年5月16日、浩瀚な四折本2巻として刊行された。初版本における痛々しさは、この傑作誕生にいたる苦悩の道のりを如実に示すものと言えよう。約1700部印刷されたとはいえ、高価でなかなか入手困難なこの記念すべき初版本が、これまた入手困難な著者自身の手による追加・訂正表と共に復刻されることは、本作品誕生の真相に迫る上で極めて重要な貢献であると考える。