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                        アイルランド研究 地理学 ヨーロッパ社会史 
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                          | 復刻版 アイルランド地名辞典 全6巻
 The Parliamentary Gazetteer 
                            of Ireland
 (底本:1845-46年刊)
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                          好評イングランドおよびウェールズ地名辞典、 
                            |  | 1998年11月刊行ISBN:4-931444-13-X
 品切れ
 |  スコットランド地名辞典に続く19世紀地名・地誌辞典シリーズ、遂に完結
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                    | 新救貧法・市民権・地方自治体・教会制度に加え、
 鉄道や運河交通に関するレファレンスも編纂
 1841年国勢調査の詳細および1831年時のものとの比較も掲載
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                    | 本書は、これまでに出版された他のアイルランド地名辞典の2倍以上の記事と3倍以上の事柄を記載し、19世紀アイルランドの情報源として最も信頼できるものといえます。従来の地名辞典にあるような県、教会区、島部、町、重要な村のみの記載にとどまらず、『4つの地方とその下に位置するすべての区画(バロニー)、主要な山々、岬、湾、湖や小川、湿地帯、鉱山とその地域、また河川、魚港、20軒以上の集落についてはすべて』正確な統計と事実に基づく情報を網羅しており、まさに19世紀アイルランドとアイルランド人の百科辞典の様相を呈しています。
 地誌学、農業、工業、商業、教育、宗教、アイルランドにおける救貧法などについて述べた幅広い序文に加え、多様な項目を綿密に包括しています。19世紀のアイルランドを知る上で貴重な統計的事実を収録している本書は、社会史、ビクトリア朝時代の研究者やアイルランドの地誌学、歴史の研究者にとって欠くことのできない資料です。当時最新の著作や報告書から幅広く編集しており、動乱のアイルランド政治史ようすをまざまざと示し、ジャガイモの不作によるアイルランド大飢饉の状況も知ることができます。
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                    | ● これまでに出版されたどのアイルランド地名辞典より多彩な事柄を記載
 ●口頭により集められた資料のみならず、わかりやすい統計結果と歴史的資料が充実
 ●地名はアルファベット順に構成され、クロスレファレンスも容易
 ●150ページにわたる序文は、歴史、経済、政治、地誌学に関する48の項目に言及
 ●地名、人名、出来事を網羅した索引
 ●豊富な地図と図版付
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                    | TEXT、CONTEXTの拡大、再構成を迫る資料日本アイルランド文学協会会長  風呂本武敏
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                    | The Parliamentary Gazetteer of Ireland『アイルランド地名辞典』は、タイトルの補足説明に「1844-45年に現存する、〈新救貧法〉・選挙区・自治体・教区ごとの、特に鉄道と運河の交通機関に関連させた」「地図と図版入りの」「1831年国勢調査と比較した1841年調査の詳細を示す」とある。序文に、当初見本より大幅に増え2巻が3巻になったこと*、「少なくとも20軒の家を含むすべての村、それ以下のものでも数百の村」が記載されていることを述べて、記載事項の多さとその精度を誇っている。
 また序文では主たる情報源を「英国陸地測量部」と「1841年国勢調査」によっていることを述べているが、前者については我々はブライアン・フリルの芝居『翻訳』でとの実態の一部を垣間見ることができる。同じ名前(地名に限らず)の異なった綴りをどう統一するかは「過去のイメージは言語に具体化される」ので大問題である。もう一つの1841年国勢調査はこの種のものでは初めて本格的はものであったようであるが、直後の大飢饉時(1845-51)の人口推測に、1841年時調査の8,175,000人が引き合いに出される。これはあまりにも多すぎるとして当時の調査員不足を地方警官で補っていたことを不備の理由にする書物もある。
 本書の実例を挙げよう。最近の和平合意妨害テロであらためて話題になったオマーの町であるが、統計の項で職業別人口の後、識字による区別が挙げられている。5歳以上の男性で、読み書き可能664、読めるが書けない者227、共に出来ない者371: 
                        5歳以上の女性で読み書き可能な者443、読めるが書けない者375、共に出来ない者577。ここまで詳細な数字のあることは、精度に関して都市と地方ではかなり大きな違いがあったのではないかと疑わせる。
 アイルランドはGeraldus CambrensisのTopography of Ireland以来地誌的興味の対象になってきた。これは一貫して植民地開発という実利的目標と結びついていることを窺わせる。(GeraldusにはConquest 
                        of Irelandという書物もある。)最近の文化研究の流れはText, Contextの拡大、再構成を余儀なくされている。その意味でこの書物は資料の新しい読み替えを迫るまたとない機会を提供する。
 
 *版元注: 本セットでは底本総頁数2318ppを6巻揃いとして復刻いたしております。
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