ジャポニスムの系譜
初期英語文献集成 各巻明細及び解説
James Jackson JARVES
A Glimps at the Art of Japan
New York, 1876
ジャーヴスは『アート・ジャーナル』誌に寄稿していたフィレンツェ在住のアメリカ人批評家で、来日経験はなかったが、『北斎漫画』などを高く評価し、日本人は自然に忠実である点、諧謔に富んだ点を強調し、アメリカ人の指針とするよう説いている。
Rutherford ALCOCK
Art and Art Industries in Japan
London, 1878
初代駐日イギリス公使として早くから日本美術コレクションを収集し、1862年のロンドン万国博覧会にそれらを送った。帰国してからは日本美術の特質について語るこの書物を著した。それらが工芸品へどのように応用されているかなどの分析を行っている。
Christopher DRESSER
Japan: Its Architecture, Art, and Art Manufactures
London, 1882
西洋の芸術家をしては最も早く日本を訪れた(1876-77年)イギリス人デザイナー兼建築家であり、精緻な建築に関する記述や初めて大量に紹介した光琳派のデザインとその応用論は貴重である。
Marcus B. HUISH
Japan and Its Art
London 1889
『アート・ジャーナル』誌の編集長で、日本美術のコレクターであったヒュイシュは、歴史、自然、生活、風習などと芸術の関係を考察し、民衆の生活に即した情報を詳しく論じた。
William ANDERSON
Japanese Wood Engravings: Their History, Technique, and
Caracteristics
London 1895
1886年に『日本の絵画芸術』を出版したアンダースンは、この本で日本の版画の起源と歴史に触れ、それを中国、朝鮮の関係で論じた。また西欧で人気を誇った北斎の時代が、浮世絵の歴史の中では衰退期にあたるとしている。
Catalogue of Prints and Books Illustrating
the History of Engraving in Japan, Exhibited in 1888
London, 1888
アンダースン蒐集品を中心に、1888年ロンドンで開催された日本の木版画、書籍展のカタログ。アンダースンが序文を寄せている。
John LAFARGE
An Artist's Letters from Japan
New York / London, 1897
1886年に来日したアメリカ人ラファージの書簡形式の旅行記で、自然、風俗の描写のあいまに、西洋美術との比較論をはさみこんでいる。彼はすでに1870年に日本美術論を著し、この書でも日本美術に対する深い洞察を見せている。
各巻解説: 馬渕明子
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