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分野:ジェンダー・フェミニズム研究、セクシャリティー、家族社会学、社会福祉、人口問題
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マリー・ストープス:
産児制限運動と関連文献集 全5巻
Marie Stopes: Birth Control and Other
Writings
編集及び解説:Lesley A. Hall |
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2000年11月刊行
約1800頁
●少部数増刷 \87,500
ISBN: 4-931444-44-X |
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1999年末に英国ガーディアン紙が2000年を記念して行った読者投票
'The Guardian's Woman of the Millennium' で、マリー・ストープスは第1位となりました。この事実ほど、現在でもストープスと産児制限運動や性教育を中心とした彼女の活動が今日の社会に根づいているかをあらわしているものはありません。英国に本部を持つ国際機関
'Marie Stopes International' は現在では世界30カ国に支部または関連組織を有しており、主著'Married
Love'(結婚愛)は発刊後80年以上経た今日でも増刷が続いているまさに20世紀の古典です。
1880年エジンバラに生まれたマリー・ストープスは、ロンドンUCLにて地質、植物学の学位を取得後ミュンヘンに留学、古生物学の博士号を得ます。ミュンヘンにて出会った日本人植物学者との劇的な恋愛は彼女を日本へと向かわせ、1907年英国王立協会の奨学金で来日します。恋愛は成就しなかったものの、約1年半日本に滞在、古生物の研究のかたわら日本文化への造詣を深めます。(後者はその後英文でまとめられた初の能研究書として発表。)英国帰国後に同僚の科学者と結婚しますが、結婚生活は短期間で終わり、離婚後にその体験を踏まえた著した作品が「結婚愛」です。この著作は、女性の性の喜びをあつかっていたため、発刊と同時に賛否の渦に巻き込まれ、ストープスは名声と悪名を一夜にして得るのです。「結婚愛」は数年間で100万部を超える大ベスト・セラーを記録、日本始め各国でも翻訳出版が続きます。その後彼女は、女性の性・家族・社会の問題へと研究と実践活動を広げ、1921年にはFamily
Planning Clinic(現Mother's Clinic)を創設、産児制限や性教育運動を積極的に展開、教会を中心とした体制勢力と対立しながらも、全国規模の団体National
Birth Control Council(現Family Planning Association)を組織するにいたります。
本文献集成は、ストープスが「結婚愛」後に発表した、産児制限運動や様々な女性問題に関する研究文献を中心にその著作を選集するものです。最終巻には、ストウプスの日本滞在記'Journal
from Japan'も収録されます。 今世紀前半のイギリスにおけるフェミニズムと女性運動、そして社会福祉史研究に貴重な資料集です。 |
■収録文献■
第1巻:「母性」263 pp
The Race: or Ernest's Immortality (pp 44-47 & 59-61),
7pp
Radiant Motherhood, 227pp
Mother England (Comments by Stopes), 14pp
Baby's First Year (pp 246-259), 15pp
第2巻:「結婚問題」287 pp
Enduring Passion: Further new contributions to the solution
of sex difficulties, being the continuation of Married Love,
200 pp
Marriage in My Time (Chapters 11-14), 87 pp
第3巻:「産児制限問題」307 pp
Wise Parenthood, 53pp
A Letter to Working Mothers: on how to have healthy children
and avoid weakening pregnancies, 16 pp
A New Gospel: a revelation of God uniting physiology and
the religion of man: delivered to the bishops in session
at Lambeth, 27 pp
Our Ostriches, A Play (Act II, Scenes 1), 23pp
Contraception, its Theory, History, and Practice (Chapters
1-5), 130 pp
The First Five Thousand: Being the first report of the first
birth control clinic in the British Empire, the Mother's
Clinic for Constructive Birth Control (pp1-33 & 56-67),
58 pp
第4巻:「その他の著作」280 pp
Botany (Chapter VII:Palaeontology), 10 pp
Ancient Plants (Chapter 3: Coal), 12 pp
The Truth about Venereal Disease, 52 pp
A Preface on the Censorship, from A Banned Play, 50 pp
Sex and the Young (Chapters 1-3, 11, 16-19), 58 pp
The Human Body (Chapters 17-20), 35 pp
Change of Life in Men and Women (Chapters 1-2), 45pp
Sleep (Chapters 1 & 5), 18 pp
第5巻:「日本滞在期」300 pp
A Journal from Japan: a daily record of life as seen by
a scientist, 1910 |
推薦文
大阪大学大学院助教授 荻野美穂
マリー・ストープスは、アメリカのマーガレット・サンガーと並んで、20世紀前半のバース・コントロール運動における中心人物、輝ける星であり、自国のみならず国際的にも著名な存在であった。ベストセラーとなった彼女の著作『結婚愛』や『母性愛』などは日本でも翻訳出版され、1920年代から30年代にかけて、ちょうど勃興期にあった日本の産児制限運動や性科学に大きな影響を与えている。また、彼女は無名の学者時代、日本人の恋人を追うかたちで来日し、長期にわたって研究調査を行っており、日本との縁には浅からぬものがある。
さらにストープスには、女性の性と生殖の自由、すなわちいまで言うリプロダクティブ・ライツのために果敢に闘ったフェミニストとしての顔とともに、優生思想への強い傾斜や劇作家としての野心、人を惹きつけると同時に敵も多い強烈な個性など、複雑で多様な側面があり、そうした点からも興味の尽きない人物といえる。
今回出版される選集では、日本にこれまで紹介されていない珍しい著作も数多く含まれており、これによってストープスの思想や活動、人物像について、より深みや奥行きのある研究が可能となるであろう。女性史、性と生殖の歴史、あるいは優生学史に関心を持つ人はもとより、さまざまな分野の研究者に活用されることが期待される。
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