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メイトランド著
ロンドン 全2巻

The History of London : from its foundation by the Romans, to the present time,
by William Maitland

■全851頁
(序文8頁、予約購読者リスト8頁、本文800頁、索引14頁、図版21点、折り込み地図4点)
■底本:1739年初版 (フォリオ版を約15%縮小の上、2巻に分冊)

2001年12月刊行
品切れ
ISBN:4-931444-73-3

'A profusely illustrated folio volume, it gives not only a history and description of the CITY, but also interesting information on the CITY LIVELY COMPANIES,on London's commercial activities, on the conditions of arts, on places of learning and charities withing the city.' - Weinreb & Hibbert 'The London Encycplopaedia'.

 

本書は、今日までロンドン史研究の原資料として引用され続け, 豊富な図版によっても著名であるメイトランドのHistory of London(1739年初版)の限定復刻版です。第1章「ローマ時代から1737年までのロンドン史」から始る本書は、著者自身が序文中で宣言するように、それまでに発表されていたロンドン史とは一線を画し民衆の生活により深く言及、第2章以降の教区、行政、商業、芸術、教育、医療などに関する具体的で詳細な記述が、ロンドンの生活・民衆史研究のための資料としての価値を高めています。また、多用される統計、図版や地図は、ロンドン大火後に再建された18世紀初頭のロンドン・シティーの姿を生き生きとよみがえらせてくれます。 限定90部のみの出版です。

■内 容■
Dedication to the King & the Preface
A List of the names of the Subscribers
Book I: From the Foundation of the City by the Romans, about the Year of Christ 49, to Anno 1737
Book II: The Parochial Account
Book III: The Political Accounts
Book IV:
The Civil Government, The Ecclesiastical Government, The Military Government
Book V: Of Arts and Commerce; Containing an Account of the City Incorporations, its Commerce, and the Several Offices, etc.
Book VI: Of Learning and Charities; Containing an Account of several Schools, Societies,, Libraries, Inns of Court, Courts of Justice, Colleges, Hospitals, and Alms-houses within the City and Suburbs of London
Book VII: An Historical Account of Westminster
Book VIII: An Historical Account of the several Parishes and Liberties in the County of Middlesex
Book IX: An Historical Account of the Borough of Southwark, and Places contiguous, in the County of Surrey
Index

「メイトランドのロンドン」を推薦する
中央大学教授 見市雅俊

17世紀から18世紀にかけてイギリスでは、「古事物研究家」(antiquarians)と呼ばれる人びとが各地で地域研究にいそしんでいた。彼らは歴史と地誌の両方を合わせた観点からそれぞれの地域の全体像を描きだそうとつとめた。その彼らが書き残したものには地方史はもとより、考古学や民俗学、さらに自然誌のデータがふんだんに盛り込まれており、今日では貴重な史料となっている。ロンドンに最初に手を染めた古事物研究家は、ジョン・ストウである。1598年に出版された『ロンドン誌』はその後の地域研究のモデルとなった。ところが、ことロンドンにかんしてはストウの本を圧縮したようなものが17世紀に何冊か登場するものの、本格的なものは久しくなかった。
本書は1739年に出版され、ストウ以来の待望久しい本格的なロンドン論として当時、熱烈に歓迎されたものである。時空両面からロンドンが立体的に描かれる。ローマ時代からのロンドンの歴史にまつわる文書も多数収録されている。同業者組合や教区にかかわるデータも豊富だ。そして何よりも本書は一般市民が都市生活を自由に、そして快適に過ごせるようになった、その時代の雰囲気をよく伝えくれている。おさめられた多くの図版、たとえば1666年の大火とその後の再建事業の完成を記念する塔の図版にみられるのびやかなタッチはそうした市民生活への温かいまなざしそのものだと思う。18世紀ならではこその無垢なロンドン讃歌である。
日本の大学の図書館では、奈良女子大学に所蔵されているものが初版本としてはおそらく唯一のものである。古書市場では高値がついていたようにも記憶する。それがこのようなかたちで入手可能になったことはたいへん喜ばしい。英国史はもとより、英文学史研究においても重要な史料としてぜひ推薦したい。